丸ノ内なかごみクリニック
Marunouchi Nakagomi Clinic
脳神経外科 内科
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脳 腫 瘍
・脳腫瘍とは
脳腫瘍とは頭蓋内に発生する腫瘍の総称で、頭蓋内から発生した原発性脳腫瘍と他臓器から転移してくる転移性脳腫瘍がある。原発性脳腫瘍は10万人に10〜12人程度発生する。脳腫瘍はまたその性質から良性脳腫瘍と悪性脳腫瘍に分けられる。脳実質内にみられる腫瘍は悪性が多いが、脳実質外にみられる腫瘍には良性のものが多い。良性脳腫瘍脳腫瘍の代表としては髄膜(硬膜や軟膜)から発生する髄膜腫(Meningioma-メニンジオーマ)、脳下垂体部に発生する脳下垂体腫瘍(Adenoma-アデノーマ)、脳神経から発生する神経鞘腫(Neurinoma-ニューリノーマ)などがある。
・脳腫瘍の症状
一般的な脳腫瘍の症状としては、以下のものがある。
□ 頭蓋内圧亢進症状:頭痛、嘔気・嘔吐、うつ血乳頭
□ 脳局所症状 :部位によって異なる症状が出現する。
□ てんかん発作
・脳腫瘍の診断
患者の年齢、性別、病歴、神経症状
画像所見:頭部単純X−P、頭部CT、頭部MRI
などを総合して診断する。
以下に代表的な良性脳腫瘍である、髄膜腫、脳下垂体腫瘍、神経鞘腫、頭蓋咽頭腫、小脳血管芽腫について説明する。
髄膜腫
髄膜(くも膜)から発生する。成人に多い。
脳腫瘍の中で一番多い腫瘍である。約30%を占める。
症状:頭蓋内圧亢進症状、脳局所症状、てんかん発作など。
発生部位:硬膜がある場所が多い。
円蓋部、傍矢状洞部、大脳鎌、蝶形骨縁、鞍結節、テント、嗅窩、小脳橋角部、脳室内、視神経鞘、
海綿静脈洞
稀に悪性化する。
治療:手術治療が基本である。
通常は開頭して腫瘍を摘出する。鞍結節髄膜腫などは内視鏡下で摘出も可能である。
蝶形骨縁髄膜腫、鞍結節髄膜腫は視神経に近いことから、視力保存のため早期に手術が必要な場合がある。
サイバーナイフ、ガンマナイフなどの放射線治療:海綿静脈洞部の髄膜腫や高齢者に行うことがある。
脳下垂体腫瘍
脳腫瘍の約18%を占める
下垂体前葉に発生する
ホルモン産生(機能性)、非産生(非機能性)腫瘍がある
産生腫瘍−ホルモン過剰の症状
若年発症、腫瘍は小さい
非産生腫瘍−視力・視野障害
中年以降発症、トルコ鞍上進展あり
機能性下垂体腺腫
成長ホルモン産生腫瘍:約20% 男女差はない。
巨人症、末端肥大症
ACTH産生腫瘍:数% 女性に多い。
Cushing病
プロラクチン産生腫瘍:約40%、女性に多い。
乳汁分泌、無月経、不妊
ただし薬剤による高プロラクチン血症に注意。
<トルコ鞍内で作られているホルモン>
前葉・・・成長ホルモン
副腎皮質刺激ホルモン
甲状腺刺激ホルモン
ゴナドトロピン
プロラクチンなど
臨床症状
内分泌症状
ホルモン 過剰? or 減少?
他
画像所見
X−P
CT
MRI
末端肥大症
(手足容積の増大、眉弓部の膨隆、軟部組織の肥厚、巨大舌、下顎の突出など)
小児巨人症−少ない
血中成長ホルモン(GH)値の高値
合併症:糖尿病、高血圧
手術が第一選択
残存腫瘍−ソマトスタチン拮抗薬の注射
放射線照射
ACTH産生腫瘍:Cushing 病ともいう
下垂体腫瘍の数%にすぎない
症状:肥満や満月様顔貌、高血圧、精神症状
放置すると心不全や脳卒中で死亡する
手術摘出が有効である。
プロラクチン産生腫瘍
下垂体腫瘍の約40%を占める
女性に多い 若年者に多く、無月経、乳汁分泌が主徴
男性ー視力・視野障害、中年以降
プロラクチン(PRL)値は200ng/mL以上が多い
ドパミン拮抗薬が有効である
手術:薬剤無効例、服薬不能例、微小腺腫、 失明寸前の巨大腺腫もある
非機能性腺腫
下垂体腫瘍の30〜40%を占める
男性の40〜60歳代に多い
トルコ鞍上に進展している
視力・視野障害と前葉機能不全(自覚は少ない)
経蝶形骨洞手術、開頭手術
残存腫瘍−年齢によっては放射線治療
神経鞘腫
原発性の10%程度
やや女性の多い。
小脳橋角部に好発 →聴神経腫瘍
聴神経腫瘍:前庭神経(第8脳神経)から発生
症状:難聴、めまい、顔面神経麻痺、水頭症
治療:手術
放射線治療(サイバーナイフやγナイフ)
頭蓋咽頭腫
原発性の5%程度
小児と成人の2つの発生ピークがある。
発生部位:下垂体柄
症状:視力・視野障害
下垂体機能低下
尿崩症
治療:手術
残存腫瘍に放射線も有効
小脳血管芽腫
原発性の約2%
成人
Von Hippel-Lindau病に関連
小脳と脳幹に好発
小脳:嚢胞と壁在結節
治療:外科的に摘出する