未破裂脳動脈瘤

未破裂脳動脈瘤とは脳血管にできる瘤状のふくらみのことです。大抵の場合それのみで症状を出すことはありません(無症候性)が、大きくなると視野障害などの症状を出す(症候性)ことがあります。脳動脈瘤が破裂するとクモ膜下出血をおこします。くも膜下出血は死亡率が高く、また後遺症でつらい思いをすることが多い。未破裂の段階で脳動脈瘤を上手にコントロールすることが大事です。

 

未破裂脳動脈瘤の頻度

脳ドックで未破裂脳動脈瘤が見つかる頻度は約5%(2−6%)です。すなわち、中年以降の年代においては比較的ありふれ病気です。家族にくも膜下出血の既往があると約2倍、喫煙習慣があると約3−4倍、高血圧があると約2倍頻度が高くなるとされています。また、多発生嚢胞腎などの病気でも頻度が高いことが知られています。ほとんどの脳動脈瘤はサイズが小さく破裂することはまずありません。

 

破裂しやすい脳動脈瘤とは

脳動脈瘤は発生部位や大きさ(サイズ)によって破裂率が異なります。サイズが大きいもの、形がいびつな(blebを有する)もの(通常の1.63倍の破裂率)、短時間で成長してくるものも破裂しやすい。部位別では、前交通動脈瘤や内頸ー後交通動脈瘤は中大脳動脈瘤と比較すると破裂率は約2倍で、小さいサイズでも破裂しやすいことがわかっています。

未破裂脳動脈瘤の治療はどうしたらよいか

未破裂脳動脈瘤を治療する際には必ずリスクが伴います。麻痺、失語、認知症状といった後遺症に悩まなければならないこともありえます。非常に稀ですが死亡することもあります。この治療のリスクは手術を行う医師によって異なります。一般的には経験の豊富な医師の方が治療のリスクは低くなっています。脳動脈瘤を治療しない場合の生涯に死亡あるいは後遺症がでる割合と医師個人の治療のリスク(後遺症の割合)を比較して検討することが大事です。また、治療を受けた場合の後遺症は治療後すぐに出現することも念頭におくことが必要です。

クリップかコイルか

未破裂脳動脈瘤の治療には2つの方法があります。開頭を行い脳動脈瘤の根本(頸部)をクリップで止める開頭クリッピング術と血管の中でカテーテルを進め脳動脈瘤をコイルでつめてしまうコイル塞栓術があります。クリップ治療、コイル治療、それぞれに長所・短所があります。

<クリッピング術>
<コイル塞栓術>

治療の最終判断

未破裂脳動脈瘤が見つかった場合、以下の選択肢があります。

1 定期的に画像検査を行い、サイズが大きくなったり、形がいびつになった場合、あるいは成長速度が速い場合に治療を考慮する。

2 適当な時期に開頭クリッピング術を受ける。

3 適当な時期にコイル塞栓術を受ける。

いずれを選択した場合でも、ご家族を含め治療にあたる医師とゆっくり話し合い、家族全員が納得してから最終的に判断することが大事です。

 

脳血管の検査を受けたことのない人へのアドバイス

クモ膜下出血は予防ができる病気です。以下の条件に当てはまる場合は、40歳をこえたら一度は脳血管を調べたほうがよいと思います。

1 家族にクモ膜下出血になった人がいる。

2 喫煙を続けている、あるいは、かつてheavy smokerであった。

3 血圧が高い。

今はMRIで容易に未破裂脳動脈瘤を見つけることができます。脳動脈瘤が見つかっても、治療の対象となるものは少なく、ほとんどが経過観察ですみます。また、治療した場合も後遺症の発生率は高くありません。

脳動脈瘤が見つかっても必要以上に心配する必要はありませんので、クモ膜下出血が心配な場合はぜひご相談下さい。

 

相談ご希望の方はできるだけCTやMRIのフィルム(あるいはCD)を持参して下さい。