丸ノ内なかごみクリニック
Marunouchi Nakagomi Clinic
脳神経外科 内科
☎ 03-6551-2011

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頭痛の治療
・頭痛の分類
頭痛には様々な分類があります。これまでに、器質的疾患があるものを症候性頭痛、ないものを機能性頭痛、また、眼科、耳鼻咽喉科、歯科領域の疾患に由来する頭痛は関連痛と分類してきました。頭痛の新しい国際分類では、機能性頭痛を一次性頭痛、症候性頭痛を二次性頭痛と分類しています。
<頭痛の認識>硬膜、主幹脳動脈、架橋静脈などには痛覚受容器がありますが、これらの痛覚受容器に対する機械的または化学的刺激が脳に伝播され痛みとして認識される。脳実質は痛みを感じません。
<一次性頭痛>
(国際頭痛分類第Ⅱ版ーICHD-Ⅱ)では以下のように分類されています。
1. 片頭痛
2. 緊張型頭痛
3. 群発頭痛と他の三叉神経・自律神経性頭痛
4. その他の一次性頭痛
<二次性頭痛ー症候性頭痛>
器質的疾患を疑う頭痛の特徴は以下のようなものである。
・今までにない強い頭痛
・発熱を伴う頭痛
・神経徴候(麻痺、失語など)を伴う頭痛
今までにない強い頭痛としては以下のようなものがある。
突発する激しい頭痛:くも膜下種血、脳出血など
急速に進行する頭痛:髄膜炎、脳炎、急性副鼻腔炎など
徐々に増悪する頭痛:脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、脳膿瘍など
発熱がある場合は、髄膜炎、脳炎、脳膿瘍、側頭動脈炎、静脈洞血栓症などを疑います。
神経症候を伴う頭痛には以下のものがあ る。
髄膜刺激症状がある:くも膜下出血、髄膜炎、脳炎など
うつ血乳頭がある:脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、髄膜炎、脳炎など
局所神経徴候を伴う:脳血管障害、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、脳炎など
けいれんを伴う:脳血管障害、脳腫瘍、脳炎、高血圧脳症など
意識障害がある:脳血管障害、脳腫瘍、脳炎、慢性硬膜下血腫、高血圧脳症など
二次性頭痛は神経所見や画像所見から鑑別可能で、脳神経外科などの専門科で治療を受けることになります。
一次性頭痛のうち、患者さんが多く、しかも重要な疾患である、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛についてはじめに説明します。その後で、後頭神経痛やその他の一次性頭痛などについて簡単に触れます。
<片頭痛(migraine)>
成人人口の約8.4%(日本に約840万人)。遺伝性(特に母親)があり、低血圧の女性に多い。典型的な片頭痛の症状は片側性(両側性は約15%)で、拍動を伴って4時間から72時間持続する。症状には吐き気、嘔吐、光過敏、音過敏などがある。天候の変化、温度差、頻回の旅行、臭い、強い光などが誘因となる。また、チーズ、ワイン、チョコレートの摂取、ストレス、寝不足・寝過ぎなども誘因となる。約3分の1の人は「前兆」と呼ばれる、視覚異常(片頭痛が間もなく始まることを示す)を経験する。
頭痛のメカニズムー三叉神経血管説
① 天候や気圧の変化、睡眠不足/過多、ストレス、疲れや緊張、人ごみなどの刺激が加わると三叉神経から血管を拡張させる物質が放出される。
② セロトニン1D受容体が血管拡張物質を受け入れ、その結果血管が急激に拡張する。
③ 血管が拡張すると、セロトニン1B受容体が作 動し、炎症をおこす物質が血管外にしみ出す。
④ 血管周辺の組織に炎症がおき、三叉神経を経て大脳に伝わり頭痛として認識される。
<緊張型頭痛(tension type headache TTH)>
成人人口の約5分の1(日本に約2200万人)。遺伝性はない。年齢、性別にも関係しない。緊張型頭痛の症状は後頭部中心の鈍痛、圧迫感、しめつけられる感じなど。午後から夕方にかけて増悪する。パソコンを使用するデスクワークの人におきやすい。後頭部から後頸部の筋肉の張り(凝り)がみられることが多い。頸椎X−Pでstraight neckが見られることが多い。
<群発頭痛(cluster headache)>
中年の男性に多い。夜間から早朝に発症する。厳密に片側性の重度の痛みが、眼窩部、眼窩上部、側頭部のいずれか1つ以上の部位に発現し、15〜180分持続する。発作頻度は1回/2日〜8回/日である。いったん発症すると1週間から1、2ヶ月、痛みがほぼ毎日続く(群発する)。片方の眼をえぐられるような激痛が特徴で、痛くてじっとしていられないことから、動いて痛みを紛らわすことがある。視床下部の機能異常、内頸動脈や眼動脈の関与が想定されている。随伴症状とし て結膜充血、流涙、鼻閉、鼻汁、顔面紅潮などの自律神経症状を伴う。アルコール摂取は誘因となる
<後頭神経痛 (occipital neuralgia)>ー第3の頭痛
後頭部には大後頭神経、小後頭神経、大耳介神経等が走行している。風邪などの炎症がおきた時、同じ姿勢で仕事を長い間した時、あるいは、なにがしのストレスが生じた場合などに、後頭部に「ズキッズキッ」、「ビリビリ」とした痛みが走る。痛みは頭頂部や目の奥におきることもある。また、これらの痛みがない時に、髪の毛を触るとビリビリしたり、頭皮に触れると鈍い痛みや違和感があることもある。通常の消炎鎮痛薬がきかない場合も多い。
<薬剤乱用頭痛(medication overdose headache MOH)>
同一の頭痛薬を連続して服用していると、頭痛薬の効果が徐々に減弱していき、頭痛薬を過剰に服用していくようになります。その場合、脳の痛み中枢が敏感になり普通では感じない程度の刺激を痛みとして感じるようになる。これが薬剤乱用頭痛です。薬剤乱用頭痛は特徴は以下のようなものです。薬剤乱用頭痛は、鎮痛薬、エルゴタミン製剤、トリプタン製剤いずれでもおきます。
・頭痛が1ヶ月に15日以上ある。3ヶ月以上定期的に頭痛薬を飲んでいる。
・早朝の頭痛や頭重感の頻度が増加する。
・頭痛薬の効きが悪くなり、服用してもすぐに頭痛がまたおきる。
・軽い頭痛の場合でも予防的に頭痛薬をのんでいる。
<その他の一次性頭痛>
<一次性穿刺様頭痛>
アイスピックで刺されたようなズキッ ズキッとした数秒以内の鋭い痛みが、単回または不規則な頻度で連続しておきる。専らまたは主として、三叉神経の第1枝領域(眼窩、側頭部、および頭頂部)におきる。随伴症状はない。多くは1ヶ月以内に自然に消失する。片頭痛や群発頭痛によく合併する。インドメタシンが著効をしめす。
処方例:インドメタシン:インテバンSP®(37.5)2T 2x
<一次性咳嗽性頭痛>
咳、いきみ、Valsalva手技に伴ってのみ誘発される突発性の痛みであり、1秒〜30分間持続する。
<一次性労作性頭痛>
身体的な労作中または労作後にのみ誘発され、5分〜48時間持続する。
<性行為に伴う頭痛>
<睡眠時頭痛>
睡眠中のみに起き、鈍い痛みで覚醒する。
①1ヶ月当たり15回を超えて起きる、
②覚醒後15分以上持続する、
③初発年齢は50歳以上
のうち少なくとも2項目を満たすものとされる。コーヒー、カップ1杯を発作時や就寝前に飲むと効果がある。
<一次性雷鳴頭痛>
突然に出現し、1分未満で痛みの強さがピークになる。1時間〜10日間持続する。二次性頭痛を除外することが重要である。
<持続性片側頭痛>
片側性に中程度(〜重度)の痛みが毎日連続してみられ、痛みが消失する時期がない。反対側に移動しない。頭痛増悪時、頭痛側に、①結膜充血または流涙。②鼻閉または鼻漏、③眼瞼下垂または縮瞳らの自律神経所見が少なくとも1項目みられる。インドメタシンで完全寛解する。
<慢性連日性頭痛>
1日に4時間以上の頭痛が1ヶ月に15日間以上続く頭痛であり、以下の4病型がある。
1. 変容性片頭痛(transformed migraine: TM )2. 慢性緊張型頭痛(chronic tension-type headache: CTTH )3. 新規発症持続性連日性頭痛(new daily persistent headache: NDPH )4. 持続性片側頭痛(hemicrania continua: HC )
・頭痛の診断
診察室での問診、診察所見、画像所見などをもとに頭痛のタイプを決定します。
<画像診断>
画像検査を行う主な目的は二次性頭痛を除外するためである。
頭蓋単純X−P:頭蓋骨病変やトルコ鞍部腫瘍などの診断に役立つ。
頸椎単純X−P:緊張型頭痛の8割程度にstraight neckが認められるという。
頭部CT:二次性頭痛の除外。頭蓋内病変や頭蓋骨病変の描出に向いている。
頭部MRI(MRA):二次性頭痛の除外。こまかな頭蓋内病変や副鼻腔炎などの描出に優れている。MRAでは脳動脈瘤の有無を調べることができる。
・頭痛の治療
片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛など頭痛のタイプがわかったら、それに応じた頭痛への対処法を説明し必要があれば薬剤治療を行う。
<片頭痛>
普段の生活:ストレスや精神的緊張を避け規則正しい生活をこころがける。朝食はしっかりとり空腹は避ける。アルコールや片頭痛の誘因となる食品を避ける。寝不足、寝過ぎに注意する。血管を拡張させる薬剤の服用に注意する。外出・旅行やショッピングは片頭痛の誘因がたくさんあるため、ゆとりをもって! 強い日差しのある時期はサングラスの使用をこころがける。入浴で頭痛がおきる場合はシャワーですませる。
頭痛発作時:暗所で横になりゆったりとする。寝るのが無理な場合、椅子にかけて安静にするだけでも効果がある。アイスノン、ジェルシート、ヒエビタなどで痛むとことを冷やすと楽になる。アクエリアスのアイスバッグ(コンビニで売っている)をタオルで巻いて痛いところを冷やすのもよい。一眠りするとなくなっていることも多い。
発作時の薬剤治療:
軽度の頭痛:
ロキソプロフェンナトリウム水和物(ロキソニン):ロキソニン®(60)1〜2T/回
アスピリン・ダイアルミネート配合配合錠:バファリンA330® 1〜2T/回
アセトアミノフェン:カロナール®(300)2−3T/回
適応外:ナプロキセン:ナイキサン®(100)3T/回 セレコキシブ:セレコックス®(100)1T/回
中等度〜重度:トリプタン系の薬剤を使用する。効果発現まで注射 10分 点鼻 15分 内服 30分。
トリプタン系:前兆期に服用しても無効なことが多い。 頭痛期に入って服用する。
ゾルミトリプタン:ゾーミックRM®(2.5)1T
エレトリプタン:レルパックス®(20)1T 脂溶性 消失も早い。
スマトリプタン:イミグラン®(50) 1T
リザトリプタン:マクサルトRPD®(10)1T 思春期(海外)インデラル服用中は禁忌。
ナラトリプタン:アマージ®(2.5)1T 月経時使用 gentle tryptaneといわれる。
発作時スマトリプタン無効 NSAIDsの座薬が効くことがある。
エルゴタミン製剤も有効 前兆時に服用しても有効。
クリアミンアA :1回1錠 1日2〜3回 1週間で10錠まで。 トリプタンとの併用は禁
悪心・嘔吐:
ドンペリドン:ナウゼリン®(5) 1T/回
メトクロプラミド:プリンペラン®(5) 1〜2T/回
片頭痛の予防治療:月に10回以上の発作、頭痛や腹部症状のため幼稚園や学校を休みがち、頭痛に対する不安が強い などの場合は予防薬の服用を考慮する予防薬:
ロメリジン塩酸塩:テラナス®、ミグシス®(5) 2T−4T 2x
バルプロ酸ナトリウム:デパケンR®(200)、セレニカR®(200) 2T 2x
アミトリプチリン塩酸塩:トリプタノール®(10) 1T 1x 就寝前
プロプラノロール塩酸塩:インデラル®(10)2〜3T 2〜3x
小児の片頭痛
発作時 イブプロフェン 5mg/kg
アセトアミノフェン 10mg/kg
嘔気 プリンペラン ナウゼリン 座薬も可
適応外 ジヒデルゴット 7.5歳 1.5mg 3x 12歳 2mg 3x
<予防>
ロメリジン塩酸塩:テラナス®、ミグシス®(5) 2T−4T 2x
バルプロ酸ナトリウム:デパケンR®(200)、セレニカR®(200)2T 2x
クロナゼパム:リボトリール
アミトリプチリン塩酸塩:トリプタノール®(10) 1T 1x 就寝前
塩酸シプロヘプタジン:ペリアクチン
モンテルカストナトリウム:シングレア、キプレス
プランルカスト水和物:オノン
年長児には、アミトリプチリン、年少児にはシプロヘプタジン(ペリアクチン)やフラビタン®(5)が有効である。バルプロ酸? プロプラノロール? の効果は未定。
<各トリプタンの特徴>
スマトリプタン(イミグラン®):半減期が約二時間と短いため、服薬後2時間で効果が不十分な場合はさらにもう50mgの追加が可能である。皮下注射薬、点鼻薬もある。皮下注射薬は群発頭痛に即効性がある。
ゾルミトリプタン(ゾーミッグ®):効果出現時間はスマトリプタンよりやや遅いものの代謝産物も片頭痛改善作用を有するため効果の持続時間は長い。
エレトリプタン(レルパックス®):最高血中濃度到達時間が1時間程度と短く半減期も3時間と長めである。即効性と持続性ともにトリプタンの中では良好である。
リザトリプタン(マクサルト®):最高血中濃度到達時間が1時間程度と短い。
ナラトリプタン(アマージ®):最高血中濃度到達時間が2.5時間と長く即効性は期待できないが、半減期が5.5時間と長いため再発例に有効と考えられている。生理に伴う片頭痛によく用いられている。
<緊張型頭痛>
薬剤によらない治療:まずこれを優先する。
心理学的治療:不安・ストレスがあればそれらの除去を行う。
日常生活上の注意点:食事はバランスよくとり、日常的に運動をする癖をつける。仕事中には定期的な休憩をとる。高い枕やかたい枕は頭痛や肩こりの原因となるので注意する。
生理学的治療:うつ向き姿勢であればこれを改善する。軽めの運動(体操、水泳)、マッサージ、ストレッチ、入浴・温シャワーなど。
その他貧血や低血圧があれば改善をはかる。
薬剤治療:筋弛緩薬、抗不安薬、鎮痛剤、抗うつ薬などが用いられる。
筋弛緩薬:バクロフェン、チザニジン塩酸塩、エペリゾン、クロルフェネシンカルバミン酸エステルなど
①バクロフェン:リオレサール®、ギャバロン®
初回1日5〜15mg、1〜3回分服、2〜3日毎に1日5から10mgずつ増量 標準用量1日30mg
②チザニジン塩酸塩:テルネリン®
1回1mg、1日3回 デプロメールとの併用禁
③エペリゾン:ミオナール®
1回50mg、1日3回
④クロルフェネシンカルバミン酸エステル:リンラキサー®
1回250mg、1日3回
抗不安薬:エチゾラム、ジアゼパムなど
①エチゾラム:デパス®
1日1.5mg、3回分服 眠気あるときは半減
②ジアゼパム:セルシン®、ホリゾン®
1回2〜5mg、1日2〜4回
鎮痛剤:ズキズキしたりガンガンすることもある。アスピリン、ロキソプロフェン、イブプロフェンなど
①アスピリン・ダイアルミネート配合:バファリン配合錠A330®
1回2錠、1日2回
②ロキソプロフェンナトリウム水和物:ロキソニン®
1回60mg、1日3回 頓用1回60から20mg
③イブプロフェン:ブルフェン®
1回200mg、1日3回
抗うつ薬:頭重感が強い場合は良い適応である。
①アミトリプチリン塩酸塩:トリプタノール®
1日10〜30mg、就寝前
<群発頭痛>
日常生活上の注意点:飲酒は禁。
発作時:頭痛発作がおきそうになったら、窓を開け、深呼吸を繰り返す。痛むところを冷やしてみる。手元の鎮痛薬をのんでみる。これらで対処できなければ病院を受診する。
頭痛発作時の薬物療法:
スマトリプタン:イミグラン® (3mg) の皮下注(5−10分で効果がでる)1日2回(6mg)まで。
イミグラン®点鼻(20mg)
酸素吸入:純酸素 7L/分 15分吸入で効果あり。
予防的な内服薬:
ベラパミル塩酸塩:ワソラン®(40)6T 3x
プレゾにゾロン:
プレドニン®(5)8T 2x 10T、6T 2x 10T、4T 2x 10T と漸減
再発時 6T 2x
夜間に発作がある場合:クリアミンA® 1T 就寝前服用も効果的。
予防薬としてのデパケンR®(200) 2T 2x はあまり効かない。
<薬剤乱用性頭痛>
治療
即時中止が漸減中止よりよい。
レスキュー薬:
NSAIDsによるMOH ⇒他の系統 例)ナプロキセン:ナイキサン®(100)3−6T 3x
トリプタン ⇒他のトリプタン
long actingを投与 頓服でshort acting
入院と異なって、外来ではステロイド使用しにくい
ドンペリドン:ナウゼリン®(10)3−6T 3x 14日続ける
離脱症状は薬物中止後4−7日続く。
予防
基本は頭痛薬を飲みすぎないことである。
first lineはロメリジン塩酸塩(テラナス®、ミグシス®)、あるいは以下のカクテル療法
テラナス®、ミグシス®(5mg) 2T 2x
デパケンR®(200) 2T 2x あるいはセレニカR®(200) 2T 2x
トリプタノール®(10) 1T 1x 就寝前 他に抗うつ薬(SSRI)
トリプタン 月10回以内の使用に留める。
MOAの再発率:6ヶ月以内 31%、1年以内 41%、4年後 45%
<後頭神経痛 (occipital neuralgia) >
大後頭神経などにそってピリッとした痛みがでる。外傷や圧迫、筋肉の緊張等で神経が障害されおきる。キリキリとした痛みが断続的におきる。髪の毛を触ってもピリピリと痛むこともある。
薬剤:
テグレトール
プレガバリン:リリカ®(75)2C 2x
ビタミンB12:メチコバール®(500)2T 2x
ロキソプロフェンナトリウム:ロキソニン®(60)1T 頓服
<顔面の痛み (facial pain) >
顔面の痛みも頭痛ということで、外来を受診する患者さんの多い。以下に代表的な顔面痛について説明します。
<三叉神経痛>
顔面の「キリッキリッ」という数秒間隔で反復する電撃痛。痛みが誘発される「トリガーゾーン」がある。
診断:MRIのCISS画像で、三叉神経に血管あるいは腫瘍が触れていることを確認する。約5%の頻度で三叉神経を脳腫瘍が圧迫している。
治療:
内服薬:カルバマゼピン:テグレトール® 1日200〜400mgから開始、1日600mgを分服 1日800mgまで
プレガバリン:リリカ®(75) 2C 2x
開頭微小血管減圧術
<副鼻腔炎>
前頭部や顔面の痛みが多いが時には後頭部まで痛む。鈍痛が多いが時に激しい痛みが生じる。目が覚めた時に頭痛がすることが多い。また、体を前に傾けた時、ズキン ズキンと激しく痛む。鼻の症状がないこともあるので注意が必要である。
診断:頭部CT(bone window)あるいは頭部MRI
治療:
抗菌薬:クラリスロマイシン:クラリス®(200) 2T 2x
蛋白分解酵素:プロナーゼ:エンピナース・P® 3C(9000) あるいは3T(18000) 3x
1回9000〜18000単位、1日3回
排膿うながす:カルボシステイン:ムコダイン® 1500mg 3x あるいは、
アンブロキソール塩酸塩 ムコソルバン®(15) 3T 3x
鎮痛薬:ロキソプロフェンナトリウム水和物:ロキソニン®1回60mg、1日3回 頓用1回60から20mg
<顎関節症>
若い女性に多い。ストレスによる食いしばりや歯ぎしりが原因と考えられている。あごを動かすと痛い、口が開けずらい、口を開け閉めすると音がする、食事の後や会話をするとあごがだるい、疲れるなどの症状がある。緊張型頭痛と同様の症状が出現する。治療:
患部の安静、薬剤療法、スプリント(バイトブロック)の作成など
<その他>
歯痛
鼻炎、中耳炎
<特殊な痛み>
<帯状疱疹後神経痛>
リリカカプセル(75 mg)2- 4 C 2x 投与初日は夕食後あるいは就寝前1C 翌日より2C
トリプタノール(10 mg)1−3T 1x 夕食後あるいは就寝前 1Tから漸増
ノイロトロピン(4単位) 4T 2x 4週で無効の場合は中止
<視床痛>
視床後腹側核群の傷害に起因する。持続性で、耐え難い、焼けるような、ひりひりする自発痛である。
トリプタノール(10 mg ) 2−3T 2x or 3x
ルボックス(25mg)1−2T 1x or 2x
テグレトール(100 or 200 mg)200 - 600 mg 2x or 3x
ガバペン(200 - 400 mg) 600 - 2400 mg 3x
リリカカプセル(75mg)2 - 4 C 2x
<こむら返り>
ツムラ芍薬甘草湯エキス顆粒 2.5 g 就寝前あるいは頓用
ツムラ芍薬甘草湯エキス顆粒 7.5 g 3x 食前あるいは食間 2週間程度
長期処方は避け、血液検査をする
エリスパン(0.25mg)3T 3x
ボルタレンゲル 1% 1日数回 塗布
ロキソニンパップ 1日1回 貼付
・頭痛外来・頭痛治療についての相談
慢性頭痛は日本人の10人に3人が経験します。「ズッキンズッキン」とした前頭部を中心とした頭痛は片頭痛で、嘔吐することも多く日常生活に強い支障があります。また、「しめつけられる」「重い」といった後頭部中心の痛みは緊張型頭痛で、仕事は続けることができますが不快な痛みが続きます。いずれの頭痛も正確に診断すれば治療が可能です。また、突然後頭部をハンマーで殴られたような頭痛はくも膜下出血の可能性があります。家族がくも膜下出血になったことがある場合、喫煙習慣や高血圧が ある場合は特に要注意です。徐々に痛みが増強して行く頭痛は脳腫瘍や慢性硬膜下血腫などの病気の可能性があります。これらの頭痛は早期に診断しなければ適切な治療を行えません。常日頃から頭痛でお悩みの方、また、今までに経験したことがないような頭痛が出てきた方などは是非一度頭痛外来にご相談下さい。
<頭痛外来で聞かれること>
以下に記載する事項に関する情報が正しい頭痛診断のためには必要です。診察を受ける前にチェックしておいて下さい。
1 これまでに頭痛は?
最初の頭痛はいつ頃からか
今回と同じ頭痛か
2 時間経過は?
発症(急激、徐々に)
反復性(1日に何回、月に何回)、
持続時間(何秒、何時間)、
起こりやすい時間帯(朝、夕方)
3 部位は?
いつも決まった部位、
左右どちらか、
前後どちらか、眼痛
4 性質は?
ずきずき(拍動性、心拍に一致した)、
重い、鈍い、締めつけられる、
きりきり(電撃様)、ズキズキ、ガンガン
5 随伴症状は?
嘔吐、神経症状(閃輝暗点、麻痺、感覚障害)
精神症状(うつ)、バイタルサイン
6 強さは?
寝込む、起きれない、
じっとしている=仕事を休む、
ようやく仕事ができる
7 増悪因子、軽快因子は?
姿勢、運動、飲食、
月経との関係、曜日、
アルコール摂取、入浴
8 診断的治療は?
鎮痛薬、トリプタン製剤、
カルバマゼピンなどの効果