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 頭痛の分類

頭痛の分類

頭痛には様々な分類があります。これまでに、器質的疾患があるものを症候性頭痛、ないものを機能性頭痛、また、眼科、耳鼻咽喉科、歯科領域の疾患に由来する頭痛は関連痛と分類してきました。頭痛の新しい国際分類では、機能性頭痛を一次性頭痛、症候性頭痛を二次性頭痛と分類しています。

<頭痛の認識>硬膜、主幹脳動脈、架橋静脈などには痛覚受容器がありますが、これらの痛覚受容器に対する機械的または化学的刺激が脳に伝播され痛みとして認識される。脳実質は痛みを感じません。

<一次性頭痛>
(国際頭痛分類第Ⅱ版ーICHD-Ⅱ)では以下のように分類されています。

1. 片頭痛

2. 緊張型頭痛

3. 群発頭痛と他の三叉神経・自律神経性頭痛

4. その他の一次性頭痛

<二次性頭痛ー症候性頭痛>

器質的疾患を疑う頭痛の特徴は以下のようなものである。

・今までにない強い頭痛

・発熱を伴う頭痛

・神経徴候(麻痺、失語など)を伴う頭痛

今までにない強い頭痛としては以下のようなものがある。

 突発する激しい頭痛:くも膜下種血、脳出血など

 急速に進行する頭痛:髄膜炎、脳炎、急性副鼻腔炎など

 徐々に増悪する頭痛:脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、脳膿瘍など

発熱がある場合は、髄膜炎、脳炎、脳膿瘍、側頭動脈炎、静脈洞血栓症などを疑います。

神経症候を伴う頭痛には以下のものがある。

 髄膜刺激症状がある:くも膜下出血、髄膜炎、脳炎など

 うつ血乳頭がある:脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、髄膜炎、脳炎など

 局所神経徴候を伴う:脳血管障害、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、脳炎など

 けいれんを伴う:脳血管障害、脳腫瘍、脳炎、高血圧脳症など

 意識障害がある:脳血管障害、脳腫瘍、脳炎、慢性硬膜下血腫、高血圧脳症など

一次性頭痛のうち、患者さんが多く、しかも重要な疾患である、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛についてはじめに説明します。その後で、後頭神経痛やその他の一次性頭痛などについて簡単に触れます。

二次性頭痛は神経所見や画像所見から鑑別可能で、脳神経外科などの専門科で治療を受けることになります。

<片頭痛(migraine)>

成人人口の約8.4%(日本に約840万人)。遺伝性(特に母親)があり、低血圧の女性に多い。典型的な片頭痛の症状は片側性(両側性は約15%)で、拍動を伴って4時間から72時間持続する。症状には吐き気、嘔吐、光過敏、音過敏などがある。天候の変化、温度差、頻回の旅行、臭い、強い光などが誘因となる。また、チーズ、ワイン、チョコレートの摂取、ストレス、寝不足・寝過ぎなども誘因となる。約3分の1の人は「前兆」と呼ばれる、視覚異常(片頭痛が間もなく始まることを示す)を経験する。

頭痛のメカニズムー三叉神経血管説

① 天候や気圧の変化、睡眠不足/過多、ストレス、疲れや緊張、人ごみなどの刺激が加わると三叉神経から血管を拡張させる物質が放出される。

② セロトニン1D受容体が血管拡張物質を受け入れ、その結果血管が急激に拡張する。

③ 血管が拡張すると、セロトニン1B受容体が作動し、炎症をおこす物質が血管外にしみ出す。

④ 血管周辺の組織に炎症がおき、三叉神経を経て大脳に伝わり頭痛として認識される。

<緊張型頭痛(tension type headache  TTH)>

成人人口の約5分の1(日本に約2200万人)。遺伝性はない。年齢、性別にも関係しない。緊張型頭痛の症状は後頭部中心の鈍痛、圧迫感、しめつけられる感じなど。午後から夕方にかけて増悪する。パソコンを使用するデスクワークの人におきやすい。後頭部から後頸部の筋肉の張り(凝り)がみられることが多い。頸椎X−Pでstraight neckが見られることが多い。

<群発頭痛(cluster headache)>

中年の男性に多い。夜間から早朝に発症する。厳密に片側性の重度の痛みが、眼窩部、眼窩上部、側頭部のいずれか1つ以上の部位に発現し、15〜180分持続する。発作頻度は1回/2日〜8回/日である。いったん発症すると1週間から1、2ヶ月、痛みがほぼ毎日続く(群発する)。片方の眼をえぐられるような激痛が特徴で、痛くてじっとしていられないことから、動いて痛みを紛らわすことがある。視床下部の機能異常、内頸動脈や眼動脈の関与が想定されている。随伴症状として結膜充血、流涙、鼻閉、鼻汁、顔面紅潮などの自律神経症状を伴う。アルコール摂取は誘因となる

<後頭神経痛 (occipital neuralgia)>ー第3の頭痛

後頭部には大後頭神経、小後頭神経、大耳介神経等が走行している。風邪などの炎症がおきた時、同じ姿勢で仕事を長い間した時、あるいは、なにがしのストレスが生じた場合などに、後頭部に「ズキッズキッ」、「ビリビリ」とした痛みが走る。痛みは頭頂部や目の奥におきることもある。また、これらの痛みがない時に、髪の毛を触るとビリビリしたり、頭皮に触れると鈍い痛みや違和感があることもある。通常の消炎鎮痛薬がきかない場合も多い。

<薬剤乱用頭痛(medication overdose headache MOH)>

同一の頭痛薬を連続して服用していると、頭痛薬の効果が徐々に減弱していき、頭痛薬を過剰に服用していくようになります。その場合、脳の痛み中枢が敏感になり普通では感じない程度の刺激を痛みとして感じるようになる。これが薬剤乱用頭痛です。薬剤乱用頭痛は特徴は以下のようなものです。薬剤乱用頭痛は、鎮痛薬、エルゴタミン製剤、トリプタン製剤いずれでもおきます。

・頭痛が1ヶ月に15日以上ある。3ヶ月以上定期的に頭痛薬を飲んでいる。

・早朝の頭痛や頭重感の頻度が増加する。

・頭痛薬の効きが悪くなり、服用してもすぐに頭痛がまたおきる。

・軽い頭痛の場合でも予防的に頭痛薬をのんでいる。

<その他の一次性頭痛>

<一次性穿刺様頭痛>

アイスピックで刺されたようなズキッ ズキッとした数秒以内の鋭い痛みが、単回または不規則な頻度で連続しておきる。専らまたは主として、三叉神経の第1枝領域(眼窩、側頭部、および頭頂部)におきる。随伴症状はない。多くは1ヶ月以内に自然に消失する。片頭痛や群発頭痛によく合併する。インドメタシンが著効をしめす。

処方例:インドメタシン:インテバンSP®(37.5)2T 2x

<一次性咳嗽性頭痛>

咳、いきみ、Valsalva手技に伴ってのみ誘発される突発性の痛みであり、1秒〜30分間持続する。

<一次性労作性頭痛>

身体的な労作中または労作後にのみ誘発され、5分〜48時間持続する。

<性行為に伴う頭痛>

<睡眠時頭痛>

睡眠中のみに起き、鈍い痛みで覚醒する。

①1ヶ月当たり15回を超えて起きる、

②覚醒後15分以上持続する、

③初発年齢は50歳以上 

のうち少なくとも2項目を満たすものとされる。コーヒー、カップ1杯を発作時や就寝前に飲むと効果がある。

<一次性雷鳴頭痛>

突然に出現し、1分未満で痛みの強さがピークになる。1時間〜10日間持続する。二次性頭痛を除外することが重要である。

<持続性片側頭痛>

 片側性に中程度(〜重度)の痛みが毎日連続してみられ、痛みが消失する時期がない。反対側に移動しない。頭痛増悪時、頭痛側に、①結膜充血または流涙。②鼻閉または鼻漏、③眼瞼下垂または縮瞳らの自律神経所見が少なくとも1項目みられる。インドメタシンで完全寛解する。

<慢性連日性頭痛>

1日に4時間以上の頭痛が1ヶ月に15日間以上続く頭痛であり、以下の4病型がある。

1.  変容性片頭痛(transformed migraine: TM )2.  慢性緊張型頭痛(chronic tension-type headache: CTTH )3.  新規発症持続性連日性頭痛(new daily persistent headache: NDPH )4.  持続性片側頭痛(hemicrania continua: HC )

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