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殿様枕症候群


最近の学会は会場に行かなくても、オンラインで参加できることが多くなった。今年の3月下旬、脳卒中関連の学会をオンラインで視聴していた時、高い枕と椎骨動脈解離との関係について検討した演題が出ていた。椎骨動脈とは頚動脈とともに脳にとって大事な血管であり、その血管壁が破れる動脈解離は、電撃的な頭痛を起こす原因の一つである。片側の頚部に激痛が突然出現することが多いが、痛みのみならず脳梗塞を起こし、めまいやシビレの原因となったり、くも膜下出血を引き起こすこともある。発表された演題の要旨は、高さが12cmあるいは15cmの枕(高枕)を常用している人は椎骨動脈解離を起こしやすいということで、高い枕を使用中に寝返りなどで頭部を回旋することが引き金になっているようである。

江戸時代には、武士や芸者などが髷や髪型の形崩れを防ぐため箱型の高い枕を使用することが一般的になり、外国で高い枕を殿様枕(あるいは将軍枕)と呼んでいたそうである。昔から、低めの枕は寿命に良いと認識されており、「枕の高さ 寿命三寸 楽四寸」(高さが四寸(約12cm)の枕は快適ではあるが、三寸(約9cm)の枕は長寿に適しているという意味)という言葉も残っている。高枕を使用した際に頭痛やめまいなどが出現することを殿様枕症候群と呼ぶ医師も増えてくるかもしれない。要は、高い枕には注意が必要であるということだが、これと似たような機序で、美容院で頚部を後屈した状態でヘアシャンプーをすると頭痛やめまい、あるいは脳梗塞が起きることも知られている(beauty parlor stroke syndrome:美容院卒中症候群)。


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